6月の読書

読んだ本の数:11
読んだページ数:3090
ナイス数:1

彼女は水曜日に死んだ彼女は水曜日に死んだ
読了日:06月04日 著者:リチャード・ラング
ミスト 短編傑作選 (文春文庫)ミスト 短編傑作選 (文春文庫)
読了日:06月05日 著者:スティーヴン・キング
埋没した世界——トランスジェンダーふたりの往復書簡埋没した世界——トランスジェンダーふたりの往復書簡
読了日:06月18日 著者:五月 あかり,周司 あきら
寝煙草の危険寝煙草の危険
読了日:06月20日 著者:マリアーナ・エンリケス
岸辺露伴 ルーヴルへ行く (ジャンプコミックスDIGITAL)岸辺露伴 ルーヴルへ行く (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月20日 著者:荒木飛呂彦
ジョジョの奇妙な冒険 第1部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第1部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月20日 著者:荒木飛呂彦
ジョジョの奇妙な冒険 第2部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第2部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月21日 著者:荒木飛呂彦
ジョジョの奇妙な冒険 第3部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第3部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月22日 著者:荒木飛呂彦
ジョジョの奇妙な冒険 第4部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第4部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月24日 著者:荒木飛呂彦
ジョジョの奇妙な冒険 第5部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)ジョジョの奇妙な冒険 第5部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
読了日:06月25日 著者:荒木飛呂彦
世界 2023年7月号世界 2023年7月号
読了日:06月27日 著者: 

『彼女は水曜日に死んだ』翻訳読みの間でわりと話題で気になったので読んだ短編集なのだがだいたいどの話も映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』から不思議を引いたみたいな雰囲気で私はぜんぜんだめだった。逆に『アンダー・ザ・シルバーレイク』が好きなら好きかもしれない。私はまったく好きではない。

『ミスト』スティーヴン・キングはシャイニングとその続編しか読んだことがなかったので、ポイント50%の機会に購入。シャイニングはなんだかやさしみがそれこそ輝いていてよかったのだがこの短編集は厭度が高い話が多く、今はそういうのを読みたい感じではなかったので、すでにちょっと忘れてしまっている。

『埋没した世界』トランスジェンダーの人々(というかトランス女性)に関してトイレと銭湯の話しかしないような人がこれを読むとは思えないが、とんちんかんなことに拘泥しとらんでこれを読めと言いたい。出生時に間違って割り当てられた性別を生きるのをやめた人たちは、どこかの街で朝起きて仕事に行き友だちと会ったりジムで運動したりこうして書簡をやりとりしたりして生活している。虚心に読めば「トランスジェンダー問題」としてなどではなく、人が生きているということを身近に実感できるはず。
と他人事のような感想しかないわけではないのだが、何をどう書きとめればよいのかぜんぜんわからない。一文一文が強くぶつかってきて自分の中をかき回し、飛び出して書面に跳ね返ってはまた次の一文を読む、というような遅々とした読書でもあったし、またまったく遠い星の話を眺めているような部分もあった。自分自身のジェンダーアイデンティティを振り返って考えてみたり、さらに奥を考えるのが途方もないことのように思えて立ち止まったり、また考えては立ち止まり、結局それ以上立ち入ることが今はまだできていない。

『寝煙草の危険』これはとてもよい短編集だった。ジャンルとしてはホラーで、フォークロアというか土地に根ざし現実世界との境目が曖昧な異世界にいつのまにか足を踏み入れてしまっている。湿度が高いというよりも、いや湿度は高いのだが、それを肌感覚ではなく「臭い」(匂いではない)で感じる。マリアーナ・エンリケスはやはり短編集の『わたしたちが火の中でなくしたもの』を何年も積んでいるのだがすぐ読もうと思った(のにジョジョを読み出してしまった)。

今の時代日本語でSNSでもやっていれば必ず一度はその名を目にし耳に聞くだろう「ジョジョ」。実はコミックもアニメもいっさい見たことがなかったのだが、Twitterのプロモ広告で1話無料で『岸辺露伴ルーブルへ行く』を読んだところから人物造形と外連味と衣装が好きすぎて5部まで黙々と読んでしまった。時代が時代だけにセクシズム・ルッキズムホモフォビアなど今の目からはちょっと、と思う「ギャグ」などもしっかりあるのだが、それなのに紛れもないクィアネスが横溢しており、ちょっとよくわからない。いや別にそれらは現実に対立するものではないのだが。さすがに40冊ほど読み続けて疲れたのでいったんここで休止しつつ、Netflixでアニメ6部をぽちぽち観ている。けれどもアニメだと世に言う「ジョジョ立ち」など私のツボを突くポーズや構図が甘くダイナミズムに欠けるので私にとってはあまり意味がないかもしれない。6部1巻を試し読みしてみたがやはり断然文句なくコミックの絵柄と構図がすばらしかった。

『世界 7月号』金時鐘(キム・シジョン)「詩は書かれなくても存在する」目当てで購入。植民地朝鮮でハングルを知らずに「日本人」として育ち、済州島四・三事件(南北分断に抵抗した住民数万人が韓国政府に虐殺された事件)を生き延びて日本に逃れ、「在日」として生きることになった詩人。似た内容のことは他の著書でも書かれているようなのだが私はこの記事を紹介するツイートで初めて知った人なので。壮絶、という言葉は他者が使うにはあまりにも空虚で、日本人(都度定義すべき言葉だが日本の植民地支配の話をするときのそれ)がこの人の人生について使うのも無責任に思える。読んでよかったし他の著書も読んでみようと思う。