4月の読書

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暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界【文春e-Books】暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界【文春e-Books】
読了日:04月07日 著者: 
オーバーストーリーオーバーストーリー
読了日:04月18日 著者:リチャード・パワーズ
お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 (文春e-book)お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 (文春e-book)
読了日:04月26日 著者:北村 紗衣

 

4月はピンチョン『重力の虹』を図書館で借りて初挑戦して序盤で離脱するという一連のイベントをやったのと、『オーバーストーリー』がそこそこの長編(電子で読んだので物理的な厚さが不明)かつ内容も相当ヘビーだったので2冊だけ。エルロイ解説本は無料の冊子(電子)で、エルロイを次々読んでみたくなるよい本だった。エルロイは読もう読もうと思いながら手がついておらず、そうこうするうちにあんなに好きだったノワールというジャンルから身も心もだいぶ距離ができてしまった。でも近々どこかでトライしたい。

オーバーストーリーはこれは怪書といってよいのではないだろうか、すごいものを読んだという感覚で、読んだことを後悔しているわけではないけれども、読んだ後死生観が変わると思う。場合によってはしんどい。なんというか、愚かな人間の行いも、人間も含むすべての生物が生息するこの地球という連続した生態系においてはすべてが身も蓋もない結論(言葉にすることはこれからもないと思う)になってしまいかねないところがしんどい。ということはTwitterには書かなかった。今は少し時間が経ってショックが薄れたので書いた。こんな誰にもわからないなんのこっちゃな書き方はしたくないけど、その身も蓋もない結論を自分で口に出すのがこわい。いちおう当たり障りのないおすすめポイントだけ引いておく。他人が読むことは止めない。というより、読もうかなと思ったなら読まないよりは読んだ方がたぶんいいし、私のような身も蓋もない行方を見出す人ばかりではないだろう。Twitterで軽く検索しても自分と似たようなことを言っている人は皆無だった。


『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』前著(になるのか)『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』よりも少しパーソナルな記述が多く、北村先生の批評のベースとなるもの、動機のようなものを垣間見ることができるちょっとおもしろい読み物だった。『お砂糖…』を補完するような位置づけになるかもしれない。批評としては私はお砂糖の方が読み応えがあると思ったけど、第4章 結婚というタフなビジネスは非常におもしろかった。結婚とはよりましな経済状態や社会的地位を手にして人生をよりましに生き抜くことを目指すタフなビジネスなのは本書の指摘通り現代でも似たような状況のはずだ。それを運命の出会いみたいなロマンチックなイベントに見せかけているのは結婚情報誌とか結婚式場とかの業界、よりも先に家父長制なのだろう。

重力の虹』はおもしろくなくはない、印象も別に悪くないんだけれども、前回書いた読む読まないの基準で考えるとやはり後回しかなという感じ。読みながら気がせいて目が滑る、今自分が読むべき本がほかにもっとあるという気持ちになる。あと自分があまり冗談を解しない人間であることも無関係ではない気がする。