2022.6.5

5月の連休明けてから勤務先の事情が急変して英語をもっとしゃべらないといけなくなってしまった。これまでも読み書きは英語必須だったのだが本社との時差の関係とエビデンスや確認のために結局メールの方が都合がいいことが多くしゃべる機会はほとんどなかった。TOEICの点数は無駄に高いのだがスピーキングの機会がこれまでまったくと言っていいほどなかったし英語を主に話すような近い友人もいないのでほんとうに話すのが苦手で、これからしばらくのことを思うとストレスで胃が痛い。リアルに痛い。はりきって高い辞書を買ったばかりだけど韓国語は受験も含めていったん保留にして英語をブラッシュアップするか...と思い始めたところで急にYoung Royalsというスウェーデンのドラマにどハマりしてしまった。

5月半ばにここまで書いて放置していた。今は何をしているかってもう何回目かわからないYoung Royalsを観ているし、主演2人のインタビュー主要なものはおそらくだいたい見たし、そのうちの1人でシンガー、アーティストのOmar Rudbergのアルバムを1日流しっぱなしにして過ごしている。大変なことになってしまった…

kpopの現場をあきらめたことでふと熱が冷めて、2月の大掃除の時に思っていた盤を複数買いすることの誤り(と今は思っている、環境負荷の面からも消費行動の面からも)を明確に意識したりもして、いちばんの推しであるテヨンの活動を楽しみにする気持ちには特に変化はないけど、ああこれで私もライト層としてマイペースで楽しむことになりそうだなどと思い始めていた。Twitterに張り付いて情報を追うことをしなくなった代わりに映画ドラマを観る時間が増えて、そしていきなりYoung Royalsがきてしまったのだった。

なんか結局何かしらにドボンと落ちてどハマりする人生なのかもしれない。あきらめな。

Young RoyalsはNetflixオリジナルのスウェーデンのYAドラマ。王室が代々在籍してきたボーディングスクールに、よくできる皇太子の弟であり王子という立場に鬱屈している甘えん坊のヴィルヘルムが普通学校で問題を起こして転入し、そこで寄宿生ではなく通学生のワーキングクラスの学生シーモンと恋に落ちる。2人の関係を真ん中にした群像劇ともいえるのだけど私が評価したいのは階級、人種差別、家族イシュー、障害、依存等々いろいろな社会問題を前提としてうまく織り込みドラマの視野にしっかり入れていること。そして2人の関係は同性愛だと思うのだけど(2人のジェンダーアイデンティティは明言されない、セクシュアリティはシーモンがゲイであることは本人の台詞にあるけどヴィルヘルムについては言及がないのでいちおう断定はしない。セクシュアリティは何であるにせよヴィルヘルムはおそらくだけど自分のセクシュアリティに悩んではいない)、困難を乗り越えてカップルになるとかカミングアウトが中心になるとかではなく、2人の関係が周囲にバレることになる経緯とヴィルヘルムが王子であることで注目は集まってしまうのだが、ゲイであるという点は登場人物の誰ひとり、国王でさえ問題としないことだ。私は日本の天皇制も外国の王室も家父長制の供給源みたいなものなのですべて廃止すべきという立場だけど、話の自然な流れとしては王室という制度を変えていくしかないんじゃないのかなという雰囲気を漂わせてシーズン1が終わっている。格差恋愛のカタルシスに焦点を当てているわけでもないし、なんならそれをキックスターターに社会を問うのかな?という期待をちょっとだけ持ってもいる。

ただ私がここまでハマっているのは、シーモンを演じるOmar Rudbergがあまりにもよすぎるからなのですね…これが演技の初仕事と知ってほんとうに驚いた。反骨心があり階級の欺瞞を鋭く指摘し、自分の将来を自分の力で切り開こうとしていて、それでいて自然体でオープンマインドで面倒見がいいシーモンというキャラクターと演じるOmarがもうなんか不可分という感じで、これはキャスティングがグッジョブすぎると思う。でもやっぱりそれだけではなく、Edvin Rydingもおぼっちゃんであまちゃんでひとりよがりで、でも心はまっすぐにシーモンに向かっているヴィルヘルムの内面の葛藤とか揺らぎをほんとうによく演じていて、ドラマの中で印象的なシーンはヴィルヘルムのパートが多いと思う。今年下半期のおそらくそれほど遅くない時期にシーズン2が配信になると思うのでぜひ観てほしい。

ヤング・ロイヤルズ
https://www.netflix.com/jp/title/81210762