SuperMについてのメモ

このタイトルの記事をクリックする人はおそらくK-POPやSMアーティストについてある程度の知識があるはずという前提で詳しい説明は省きつつ、SuperMについて気になっていることを自分の備忘的に簡単にメモ。SuperMには私の推しワンツーのテヨンとテンくんがいる。2度のソロツアーどちらも観たしこれからも観たいと思っているテミンがいる。そしてソロアルバムもSMTownのパフォーマンスもすごくよくて5年ぶりにエクソコン行くことにしたベッキョンがいる。というチームなので私は単純にすごく楽しみにしていたし今も楽しいです。しかし、デビューショーケースと同時に公開されたMVビハインドにイ・スマンをピンでしっかり捉えたカットが挿入されている(偶然写り込んでいるのではなく)のを見てしまい、なんかこれは引っかかるぞと思って書くことにしました。最後に参考記事をいくつか挙げてあります。韓国語が残念ながら読めないので、韓国語の記事は機械翻訳に突っ込んで読んでいます。

ではまずタイトル曲 Jopping でも観ていただいてから…

youtu.be

SuperMとは

SMエンタテイメントの既存グループであるSHINee、EXO、NCT、WayV(威神V、大枠では NCT)からの選抜による新グループ。NCT127が北米活動に関してエージェント契約を結んでいるCapitol Groupの会社説明会的なイベントCapitol Congressで8月7日、SMエンタ創業者イ・スマンから発表された(NCT127はこの時Capitol所属アーティストとして出席している)。その発表ではCapitolからの依頼を受けイ・スマン主導で立ち上げたこと、単発の企画ではなく継続的に活動すること、ただし既存グループの活動が優先されることなどがあきらかに。10月5日EPリリース、翌6日Capitolの野外ステージでデビューショーケース、11月からの北米ツアーも決定。

メンバー
テミン(SHINee)、ベッキョン、カイ(EXO)、テヨン、マーク(NCT)、テン、ルーカス(WayV)

プロジェクトの狙いは

正直不明。背景としてはもちろんBTSの存在があるでしょう、BTSが話題性だけでなく、実際組まなかった他社がうちでもやりたいと思うぐらいにはアメリカでも立派にビジネスになったということなんだと思う。ただ、SuperMがこうしてあまり手間をかけることなく出てきたことで、別にBTSに対抗してオルタナティブの道を開こうというわけでも、後に続こうと思っているわけでもないのかなという気がする。SuperMはほとんどがすでに第一線で場数を踏んできて人気も実力もあるメンバーを集めて、発表から2ヶ月足らずであまりにもポンと、MVもEPもデビューステージもサイン会も豊富なグッズもツアーも、K-POPの王道セット的な内容が段階を追うことなくいっぺんにパッケージされて出てきました。至れり尽くせりに見えて、いやむしろ至れり尽くせりすぎることで逆に、新たなファンダム開拓を真剣に考えているとはやはり言えないのではないかという気がするんです。既存ファンならよく知っているやり方で、目白押しのイベントがハイペースで進行されていく。サイン会やデビュー直後のツアーなんて既存ファンしか反応できないと思うし、すべてがスタートの時点で完了してしまっているようなスピード感。

ここでちょっと思ったのは、BTSが意識的に作り上げていったストーリー性を持ち出すまでもなく、アイドルというのはファンと一緒に歴史、ストーリーを作っていくという側面がそもそもあるのだろうということです。K-POPに限らずたとえば1Dにしたって別々にオーディション番組に出て出会ってデビューしてというところからすでにストーリーは始まっていて、ファンは記憶し経験しまたそれを記憶してファンダムの歴史を作っていく。人によって見るものは違うし濃淡は当然あるものの、アイドルを追う世界では"時間"というのは重要なファクターだと思います。グループとして活動する期間という意味でも、メンバーどうしが同じグループの一員としてともに過ごす時間という意味でも。どちらかというと圧倒されるようなダンスパフォーマンスが見られればそれでいいタイプのオタクである私でもそういう気持ちはある。今アメリカにいるSuperMがホテルではなくコンドのようなところで共同生活しているらしいのはおそらくテミンが話していた提案が実現したものだと思うけど、このチームに足りていない"ともに過ごす時間"を補おうとするものでしょう。仮にBTSと違うものを作ろうとしたところでそういう部分はK-POP、アイドルであるうえは基本変わらないんじゃないかな。

でもSuperMはそこをおそらくはあえてまったく度外視して、他の事務所が真似したくてもできない、いきなり満貫全席のような選抜チームを作った。ツイッターでも書いたけど、BTSのストーリー性に対してSMエンタが最近は単純明快なパフォーマンス重視に回帰しているのは確実だと思います。確かにSuperMのメンツはすごいですよ、もともとパフォーマンスの質の高さで定評があるSMの各グループのメインダンサー、パフォーマンスのセンターが集まっちゃってるわけだからドリームチームです。ここまでいさぎよくパフォーマンスに振り切ったことは素直に評価したい。でも、ドリームってのは基本的に実現しないから思い描くのであり思い描くから楽しいのであって、実現してしまったらその瞬間にすべてが叶って終了しちゃうみたいなとこないですか? なんかそういう意味でここから先がよくわからない。

しかも前提として本体が優先ということを考えても、ほんとスケジュールどうすんだ?という、ドリームじゃない現実のところが気がかりでもある。SuperMの活動と北米ツアーはEXOのツアーとNCT127のツアーの合間を縫って行われるわけで、しかもツアーとツアーの間にEXOもNCT127もWayVもカムバする可能性もあり、本体の活動に支障がないってほんとに大丈夫だろうな?と誰しも思うのではないでしょうか。あるいはSuperMちゃんとできるの?かもしれない。

もうひとつこれは仕方ないことだし考えたくないから触れない人も多いのだと思うけど、いちばん上のベッキョンが入隊までおそらく2年ほどというリミットもある。継続的に活動するって言ってもな…という諦めに似た感情もあるかもしれない。

といろいろと挙げましたが、とにかく目的がよくわからないため、CapitolやSMが何をやりたいのか想像がつきません。なんか積極的に売ろうとかBTSとは別のテッペン取ろうとかチャートインさせようとかそういうことは特に考えてないような。と書くと妙に心配が高まってきた…何がやりたいんだ!?ただNCT127の今年のアルバムWE ARE SUPERHUMANがビルボード200チャートで11位とK-POPではBTSに次ぐ2番目の記録を作っているし、その前に2番目だったのはEXOの昨年のアルバムDON’T MESS UP MY TEMPOの23位だったりするので、会社側がSuperMとして特別に努力せずともアルバム成績はそこそこ行くのではとは思います。思いますが、各グループの参加メンバー以外のファンは買わない可能性も高く…なんとも読めないところもある。 → (10/14追記) 10/10週ビルボード200でアルバム換算168,000枚で1位獲得しました!BTS以来2組目 (SuperM's 'The 1st Mini Album' Debuts at No. 1 on Billboard 200 Albums Chart | Billboard

イ・スマンの個人会社 ライク企画

というような初めから感じてはいたけどまあいっかとしていたことが急に気になりだしてしまったのはすべてイ・スマンのせいで。イ・スマン、やけにでしゃばるなあとは思っていたんです。まあでもしばしば気まぐれに顔出しするし売れっ子が好きだし(棘)、とスルーしてたんだけど、MVビハインドに偶然写り込んだのではない、プロデューサー仕草のイ・スマンのカットがしっかり挿入されているのを見て、最近ニュースになっていたことをふと思い出したのです。イ・スマンの個人会社であるライク企画にSMエンタの営業利益の約半分に当たる額が報酬として支払われているのを株主が問題視しているという記事を。

ではここで問題のMVビハインドでも…イスマン登場シーンをお知らせしなくてもよいかもですが、ご参考までに3:13あたりです。

www.youtube.com

先月9月のその記事では株主であるファンドらがライク企画の子会社化を要求したけれども会社が拒否したため、株を買い進めて保有比率を上げているとありました。

ライク企画はSMエンタのアーティストや制作物のプロデュースを担当。SMエンタは2000年にコスダックに上場しているんだけど、この時点ですでにライク企画への報酬が音源収益の15%を占めていることに注目と経済新聞に書かれており、おそらく長年にわたり株主からの突き上げにあっているのではないかと推測されます。そりゃそうだ、持ち株比率20%超(00年時点では60%超)の創業者が筆頭株主という上場企業が無配当を続けながら、当の本人が100%株を保有する会社に営業利益の半分にもなる額を支払っているのはちょっと正常とは言えない気がします、専門家ではないのでよくはわからないけど。SMエンタの本業とは無関係な業種を含む多角経営の赤字部門とこのライク企画の問題はここ数年でも何度かメディアで取り上げられているのを見た気がする。

というような会社またはイ・スマンの事情を考えると、ライク企画に対する批判をかわすために彼が主導的立場としてこれ見よがしに露出しているのではないか、K-POPにおいてまったく新しい形のグループをアメリカでデビューさせるという実績を自分の手柄としてアピールするためのSuperMなんじゃないかと勘ぐりたくなってきます。これは私がSMエンタとイ・スマンに限らずすべての芸能事務所とそこの代表や看板Pをアイドルの敵!監視対象!と思っているせいも正直ありますが、でもほんとこれ可能性あるでしょ、グループのMVビハインドにプロデューサーがかっこよく指導してる姿がピンでしっかり挿入されるなんていくら有名人でも異常ですよ、見たことないしふつうやらないでしょ、出たがりで我慢できずTWICEのMVにカメオしたり自分もカムバしちゃった餅ゴリでもやらないよ(やってたら教えてください)。

でどうなの

どうなんだろう。私はすごく楽しんでいます。パフォーマンスはさすがのレベルだし、テヨンにはまたも新しい可能性が見えたりしてやっぱりすごいなと毎秒感嘆する勢いです。でもイ・スマン疑獄を脇に置いたとしても、やっぱり本体のカムバのような気合とか緊張感を感じないという点でどこか物足りないような気もしてしまう。それは今回のパフォーマンスがどうとかではなくて、たぶん先に書いた"時間"とか、あるいはカムバの"あの感じ"がないといった、自分が味をしめている慣れのようなものの不在にすぎないのだと思いますが。

すでに名の知れた別のグループのメンバーが垣根を超えてひとつのグループを結成するという形態自体はスーパーグループという名称があるぐらいでそんなに珍しくはないものの、やっぱり誰だって本体ありきじゃないですか。スーパーグループの方がよくなっちゃって本体捨てたなんて話は聞いたことがないし(あったら教えてください)、仮によくなっちゃったとしても本体をそれぞれが畳んだり抜けたりというのはまあビジネス的な意味でも簡単なことではないでしょう。たぶん着眼点やポジションや関係性を変えることで新しいグルーヴやアイデアが生まれるのがおもしろい、スーパーグループのよさはそのへんなのではないでしょうか。実際たとえば私の推しであるテヨンは本体ではリーダーで圧倒的センターだけど、SuperMではリーダーではなく年齢やキャリアでは真ん中でダンスの実力的にも上がいるというふだん見たくても見られないポジションにいることがファン的にはめちゃくちゃいいわけです。グループではマンネのカイくんは弟ができたとはしゃいでいるし、おなじくマンネで今は兄たち全員入隊中で1人活動のテミンもSuperMではキャリアがいちばん長くチームの支柱となりそしてグループの一員になっている。でもみんなメインは本体です、掛け持ちです。メンバーが掛け持ちならファンだって掛け持ちなわけで、メインが本体であることはファンも同じです。メンバーにとってもファンにとってもSuperMはいつもとは違うお祭りという位置づけにどうしてもなってしまうのではないかなと。推しがいつもと違う顔をし、違うダンスを踊り、違うパートを担うのを見るのはすごくワクワクするけど、いつもと違う環境・メンバーとの活動で得るものも大きいだろうなどと、つまり本体や本人へ還元される何かという目線で考えてしまっている。結局SuperMについて長期的に、グループとしてどうかということについては特に考えていないというか、少なくとも今の時点では思うことはほとんどないかもしれない。SMTownのコラボステージの延長のような感じで、本人たちが楽しめていればいいなと思います。まあ見てると楽しそうだけどね。ほんと楽しんでほしい。私もそうします。

 

参考記事

‪Super M, 'The Avengers Of K-Pop,' Unveiled By SM Entertainment And Capitol Music Group
http://www.forbes.com/sites/jeffbenjamin/2019/08/07/super-m-the-avengers-of-k-pop-unveiled-by-sm-entertainment-and-capitol-music-group/
(ご存知K-POPフォロワーの音楽ライターJeff BenjaminさんのSuperM発表に関する記事。Forbs 8/7)

 
SHINee×EXO×NCTが結集したSuperM出撃…イ・スマンプロデュース
샤이니X엑소XNCT 뭉친 ‘슈퍼엠’ 출격..이수만 프로듀싱(공식입장) (Source : 뉴스엔 | NAVER TV연예)
http://naver.me/5l88kJTn
(こちらもSuperM発表に関する韓国の概略記事。Newsen 8/8)

 
アベンジャーズのように…SMアイドル ボーイグループメンバー米国総出撃
‪어벤져스처럼···SM 아이돌 보이그룹 멤버, 미국 총출격
https://mnews.joins.com/article/23550855
(韓国内でのやや懐疑的な見方と海外での歓迎ムードを伝えるバランスがとれた記事。中央日報 8/13)

 
エスエム、外食などの赤字事業改善されなければリストラ…市場の誤解は解けない
”에스엠, 외식 등 적자사업 개선 안되면 정리…시장 오해 풀겠다” (출처 : 한국경제 | 네이버 뉴스)
http://naver.me/FppwASZg
(ライク企画問題。SMエンタ社長キム・ヨンミンに対面取材したもの。韓国経済新聞 9/24)


[コスダック公募株請約3社集中分析] 'SMエンターテイメント'
‪[코스닥 공모주 청약3社 집중분석] 'SM엔터테인먼트'
https://www.hankyung.com/news/article/2000040289801
(SMエンタのコスダック上場時の会社分析記事。韓国経済新聞 2000年4/3)